漢方薬は卓越した複合剤です。天然物(植物・動物・鉱物)をそのまま利用する薬を生薬と呼び、そこにはさまざまな成分が含まれています。漢方薬ではほとんどの場合この生薬を組み合わせて処方する「複合剤」となっています。単一成分の薬が多い西洋薬に比べると「複合剤」である漢方薬(漢方処方)の成分はケタ違いに多く、そのため薬の作用は極めて複雑・多彩で多方面にわたります。
さらに漢方薬には二千年の歴史があります。今日まで無数の処方が作られては淘汰され、すぐれた薬だけが残されてきました。膨大な使用経験の中で「どのケースに使えば良いか」が確かめられてきたわけです。いわば、二千年に及ぶ臨床経験の中で薬効と安全性が徹底的に確かめられた薬なのです。

例えば・・・

当帰
当帰

[効果・効能]
血行を改善し、鎮痛や整腸調整などに効果があります。
めまい、動悸、月経不調、月経痛、無月経、打撲傷などの改善がみられます。
*水分代謝が悪い方。下痢気味の方は避けてください。

五味子
五味子

[効果・効能]
体内の水分量を増やし、喉を潤します。昼間自然に出た汗や寝汗を止め、下痢症状にも効果を発揮します。また、精神安定の作用もあるため、不眠・多夢にも効果的です。
*急性の咳の出始め、はしかの初期は避けてください。

甘草
甘草

[効果・効能]
風邪症状や胃腸障害などに効果を発揮します。倦怠感、水様便、痰が多い咳、胃や手足のけれんに用いられます。
*かぜ薬として処方されることが多いが、一度に多量の服用は避けてください。

漢方薬はからだ全体のバランスを正しくします。生体が本来備えている治癒力を活性化する事で身体(心とからだ)が正常に機能することを主要目的とします。
薬の利き方は多くの場合緩やかで効果が発揮されるまでに西洋薬より時間がかかります。ですが徐々に新陳代謝を高め身体を養いながら病気を治します。また、漢方薬が適切に使われた場合は西洋薬のように「薬をやめると再発する」というケースがほとんどみられません。副作用も西洋薬よりはるかに少ないのも特徴です。
日常生活での利便性や機能性を考え、西洋薬と漢方薬、両者を状況に応じて使い分けることが大切です。

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